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2013年のベストブック その2 [本]

先日のつづきです。
2013年のベストブック、
★第2位は、
「日本の美を求めて」 東山 魁夷 著 (講談社学術文庫) です。

その昔、「齢をとるごとに、“育つ”ものが大好きになってくる。だからおばちゃんらは、大抵草花が好きなんやで」という言葉を読んだことがあり、その頃は20代だったのでそういうもんかなぁ、なんて思っていたのですが、最近ホントに大きくうなづいてしまう。

でも、なんで齢をとると、そういう気持ちになるのかというのが、よくわからなかったのですが、この本を読んで、「そういうことか」と得心した。
---(引用開始)---

これを巡り合わせと言うものであろうか。花の盛りは短く、月の盛りと出合うのは、なかなか難しいことである。また、月の盛りは、この場合ただ一夜である。もし、曇りか雨になれば見ることが出来ない。その上、私がその場に居合わせなければならない。

これは一つの例に過ぎないが、どんな場合でも、風景との巡り合いは、ただ一度のことと思わねばならぬ。自然は生きていて、常に変化して行くからである。また、それを見る私達自身も、日々、移り変わって行く。生成と衰滅の輪を描いて変転してゆく宿命において、自然も私達も同じ根に繋がっている。

花が永遠に咲き、私達も永遠に地上に存在しているなら、両者の巡り合いに何の感動も起こらないであろう。花は散ることによって生命の輝きを示すものである。花を美しいと思う心の底には、お互いの生命をいつくしみ、地上での短い存在の間に巡り合った喜びが、無意識のうちに、感じられているに違いない。それならば、花に限らず名も知らぬ路傍の一本の草でも同じことではないだろうか。
---(引用終了)---


そういえば、今年は、絵を書く人の本を読んだ年だったなぁ。
「ぶれない―骨太に、自分を耕す方法」 平山郁夫 著 (三笠書房) も良かったし。
---(引用開始)---

物事を判断し、自分の行動を決める時、何を基準にするか。
私の基準は「美しいかどうか」です。
---(引用終了)---

「この行動している自分は、美しいか」を自分に問う。
なかなかできまへんなぁ。

さ、あとは、トントンとすすめましょうか。

★第3位
これは、前にも書いた、
「いちばん長い夜に」 乃南 アサ 著 (新潮社) です。

感想は、過去記事に譲るとして、
作中に東日本大震災がでてくるのですが、それがこのシリーズを前から好きだった人には、
違和感がある人もいるみたいで、Amazonレビューでは賛否両論なのですが…。
たしかに、シリーズ前2作は、女性たちの日々の暮らしの中のちょっとした事件を、短編で丁寧に描いていたんだけれど、今回は短編と中編(長編)ぐらいのボリュームで、スタイル自体も変わってる。
けど、やっぱり、あの震災は、たくさんの人の生き方を変えてしまったんだと思う。
それぐらいの大きな出来事で、しかも、シリーズのはじまりには、それが重要になるとは作者も考えていなかった、主人公の1人が仙台出身であるという設定。しかも、震災があった日、この作品の取材のために、作者が仙台にいた。これがあるのならば、書かずにいるほうが、おかしいと思う。

●過去記事
「それが答えだ」http://isn-staffwriter.blog.so-net.ne.jp/2013-07-24

やっぱり、トントンと紹介…とはいかないですね…。

2013年のベストブック [本]

年末ですね。
ここ2年ほど毎年この時期にあるとは言うものの、12月しょっぱなの遠方日曜取材が効いたなぁ。
なんかバタバタで、ブログが更新できませんでした。

さて、年々読書量が減ってしまっているので、
「これは!」という本を選ぶのもなかなか難しいのですが、
今年、読んだ本の中でのベストブックを発表します。

♪ドルゥララララ…(←注 ドラムロール)
ダ・ダ、ダン!

★第1位
「わたしが正義について語るなら」 やなせたかし 著 (ポプラ新書)
文句なしの1位です。(正直、あと、思いつかないぐらい)
著者は今年10月に亡くなったアンパンマンの作者、やなせたかしさん。
新書版が出たのは、亡くなってからですが、
もともとは、2009年に発売された
「未来のおとなへ語る―わたしが正義について語るなら」を、
内容はほとんどそのまま編集しなおし、新書化したものです。

元の本が、子ども(思春期ぐらい)にあてた内容なので、語り口はやさしいけれど、
書いている内容はズシンと来ます。

---(引用)---

 戦争で感じた大事なことがもう一つあります。それは、正義というのはあやふやなものだということです。
  (中略)
 そうして、日本が戦争に負け、すべてが終ると日本の社会はガラッと変化しました。
 それまでの軍国主義から民主主義へ。それまでは天皇が神様だと言っていたのに、急にみんな平等だ、民主主義だと言われるようになりました。
 民主主義が何かということは本当はまだ誰にも分かっていませんでしたので、みんな右往左往していました。ぼくも状況がのみこめるまでぼんやりした感じでした。でも、だんだんとはっきりと分かってきたことがあります。
 正義のための戦いなんてどこにもないのです。

 正義はある日突然逆転する。
 逆転しない正義は献身と愛です。
---(引用終了)---


「アンパンマンのマーチ」の歌詞もやなせさんが作詞されたそうですが、その中の「愛と 勇気だけが ともだちさ」の部分に抗議がきたことがあったそうです。
たしかに、前後の歌詞を抜きにそこだけ聞くと、アンパンマンはあんなに仲間に囲まれてるのに、結局友達は、「愛と勇気だけ?」と疑問を持つ人もいるかも…。
でも、あの歌詞に込められた思いは、
「(みんなの夢を守るために)戦うときは、友達を巻き込んじゃいけない、戦うときは自分一人なんだと思わなくちゃいけないということなんです。(中略)責任は自分が負うという覚悟が必要なんだということなんです」と書いてあって、そういうことだったのかと。

と、書いていて思い出した!

★続けて、第2位は…。
「日本の美を求めて」 東山 魁夷 著 (講談社学術文庫)

日本画家、東山 魁夷さんが書いた本。
この感想も、書きたいのですが、タイムアップ!
続きは年内のどこかで…。
(一応、第4位まで今、あたまには浮かんでます。)

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