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三本勝負 [本]

最近、図書館に行っても読みたい本がない。
けれど、何も借りずに帰るのもなんだかなぁ、と思うので、
ぐるぐる書棚を巡って、適当に本を選ぶ。

■そんな感じでインスピレーションで選んだ中で、
石田千さんの「あめりかむら」という短編集の中に入っている
「大踏切書店のこと」という短編はよかった。

あめりかむら



下町の、古本屋を兼ねた小さな居酒屋に集まる人たちの、
なんてことのない、日々の暮らしがさらっと書いてあるだけの物語。

その中に出てくる、ハルさんという90歳のおばあさんが良い。
毎日、雨の日でも近所のその居酒屋へやってきて、コップ酒を1杯飲む。
作中の台詞は、居酒屋の店主に向けた “ふみさん 帰る” という一言だけ。
そして、コップの中に代金の500円玉をポトンと落として帰っていく。

お、今、見返しの紹介文を読むと、石田千さんは「大踏切書店のこと」で、平成13年の第一回古本小説大賞受賞してるのか(古本小説ってなんだろう…って気もしますが)。
そして、なるほど、短編集のタイトルにもなった、「あめりかむら」は芥川賞候補か。
私としては「大踏切書店のこと」のほうが好みだったけどなぁ。
でも確かに表題作になってるだけあって、1作目は不思議な空気感でなんか引き込まれた。

というのが1本目。

■続けて読んだ本は、よしもとばななさんの「さきちゃんたちの夜」
よしもとばななさんの本は、私にとって、スピリチュアルな感じがピタッとはまるときと、
「うーむ…よくわからん」というときの差が結構ある。

さきちゃんたちの夜



昔の作品、「TUGUMI」とか「キッチン」とか「海のふた」あたりは良かったけれど、最近は「うーむ…」のほうが多いという印象で、「さきちゃんたちの夜」も、短編集の1本目が「うーむ…。。それで?」という感じだったので、期待せず読み進めたら、3本目の「癒しの豆スープ」は割とよかった。

小さなタバコ屋さんを営んでいた老夫婦が、週末、店に立ち寄る人のために、無料の豆スープを配る話。(ちょっと、「大踏切書店のこと」に雰囲気が似てる)

その中の、「(略)……そして、俺が思うに、無料っていうのは、ほんとうはとても残酷なことなんじゃないのか? 結局はそれを相手が背負うことになるだろう。自分の得たものを。それはゆくゆく積もりつもって、その人を蝕むんじゃないのか?」という台詞は、ちょっとはっとしたなぁ。

■ラストは、伊坂幸太郎さんの「残り全部バケーション」
伊坂幸太郎さんも、初期の作品はよく読んだけど、最近はめっきりご無沙汰している作家さん。
「魔王」あたりからちょっと感じてたけど、救いが見えないなんともいえない重苦しい感じと、私にはよくわからん暴力描写がしんどくなって。。
そういう意味では、「残り全部バケーション」は、初期のころの軽やかな感じがあった。
けど、終わり方がなぁ。「え!そこで終わるの??」とびっくりしてしまった。
(やってみたいなぁ、という終わり方で笑ってしまったけど & 1話目を読めば、ラストがあんなバシッと遮断するように終わっていても、希望のある終わり方ではあるけれど)


残り全部バケーション



思い出したけど、伊坂幸太郎さんの「ガソリン生活」は、
小粒な感じだけど、軽い感じでよかったな。
これは、わりとお勧めです。

ガソリン生活



***
以上、勝負してないけど、三本勝負(+1)でした。

ちなみに、三本勝負っていうのは辞書には載っていなくて、三回戦って勝敗を決めることというのは、三番勝負っていうんですね。
まぁ、本の感想だし、勝負してないし、いっか、って感じですが。

遠いようで近い

学生時代、歴史の授業ってすごく苦手やったんやけど、
このごろ、社史の仕事をやっているせいか、
第二次世界大戦(太平洋戦争)が終わった年は、
1945年で、和暦でいったら昭和20年、って、ぴゃっとすぐ出てくるようになった。

69年前って、遠いようで案外近いと思う、今日この頃。

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