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父の友人からの電話

昨年、父の喪中のお知らせを送ったところ、色々な人から連絡があった。
突然に近い亡くなりかたで、しかも、私自身、そのころ万全とは言い難い状態で、
考える時間も気持ちの余裕もなく、家族と親戚のみで見送ってしまったので、
喪中はがきをもらった人は、驚いたのだろう。
仕事での思い出を手紙に書いて送ってくださった方もいたし、
電話をかけてきてくれた幼馴染の方もいた。

私と父は仲良し父娘ではなかったし、とくに亡くなる前の数年間は、
一方的に私が言い募り、「うるさい!」と父が怒鳴って部屋を出ていく、
というパターンの喧嘩をよくやった。

今振り返ると、私は何であんなにイライラしていたのかな。
色々考えて思ったことは、私はたぶん認めたくなかったのだと思う。
父が老いていくことを。
すごくきっちりした人だったのに、だんだんとできないことが増えていく父を見たくなかった。
見たくない…というか、現実を受け入れたくないという気持ちかな。。
だから、あんなにも口うるさくしてしまった。

その電話は、たまたま私が受けたのだけれど、
ゆっくりと語尾をのばす話し方が父に似ていて、
「そうだった。お父さんて、こんなやさしいイントネーションで話す人だった」と思い出し、
しゃべりながら泣きそうになった。

思えば、私が本を好きなのは、父の影響が大きい。
幼いころの姉と私の寝かしつけは、たいてい父の役目で、
私たちが眠るまで、色々な物語を読んでくれた。
佐藤さとるさんの「コロボックル物語」。
松谷みよ子さんの「ちいさいモモちゃん」シリーズ。
安房直子さんや立花えりかさんの本。大人になってからも何度も読み返した。
父に買ってもらった「マリーちゃんとひつじ」は、今も押入れの中にある。

父が亡くなって、もうすぐ一年が経つ。
そろそろ書けるかなと思って、書いてみたけれど、「まだまだ」だなぁ。

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