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消えゆくものと消え去らないもの [本]

小川洋子さんの「密やかな結晶」読み終わりました。

うーむ、すごい。
先日は、漫画がすごいと書いたけど、やっぱり小説もすごい。

リボン、鈴、エメラルド、切手…。さまざまなものが徐々に消滅する島。そこに暮らす人々は、やがて消滅したものの記憶さえも失くしてしまう。記憶を失くしてしまえば、消え去ったものを思って嘆くこともない。人々は何が消滅しても、適応して淡々と生きている。一方で、島には記憶を失くさない人もいた。彼らは、記憶を狩る秘密警察の目を避けて暮らしている。

なぜその島で消滅が起こるのか、秘密警察とはどんな組織なのか。説明はない。
消えていく記憶、失くなっていく自分自身に抗おうとしても、「消滅」は容赦がない。
最後はどうなるんだろう、一体どんな風に物語は着地するんだろう。
最後の数ページまできても、想像できない。
読み終わったあとも実感がない。まるで今まで読んでいた物語が、ラムネのようにふわっと溶けて消えてしまったような不思議な読後感。

決して分かりやすくはない。
どういう感想を持っていいかもよく分からない。
けれど、読んで良かったと思う。
なんだろうな、小説ってすごいと感じた。

なんと米アマゾン・スタジオが映画化するらしい。
そして、舞台にもなっていたらしい。
えー、この世界観、小説以外で表現できるかな~。
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比べるものではないけれど

昔から物語が好きで、その表現方法としての自分の中の順位は、
本(文章)>漫画(文+絵(画))>映像(音+絵(画)+動)かなぁと思っていたのですが、最近、漫画の追い上げがすごい。

最近読んだ漫画で、すごいなぁと思ったのは、次の2作品。

「赤髪の白雪姫」
王子様が出てきて恋愛要素もある、ある意味王道の少女漫画なのですが、少女漫画によくある主人公の心の中の声が少ない。そのかわり…といっては何だけれど、登場人物の視線の先にあるものが、さりげなく描かれていて、読み流すこともできるけれど、その意味に気がつくと、より深く登場人物の心情が想像できるという、ちょっと小説を読んでいるときに近い感覚があって、ゾクッとした。
漫画の良さって、わかりやすさだと思ってたけど、そうじゃない表現もあるんだなぁと思った一作。
ただ、やっぱり女性向けかな。。

「八百森のエリー」
市場の仲卸さんを題材にするとは…と意表を突かれた。「銀の匙」とか、農業を題材にした面白い漫画はあるけど、「そうか~、仲卸さんの世界も漫画にできるんか」と。
農業取材が多かったから、とくに面白く感じている部分もあるかもしれないけれど、「やられたー!」と漫画の懐の広さを感じた作品。
これは小説にすると、説明っぽくなりすぎる気がする。
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