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数字には気をつけよう [心理学]

ITproではないのに、なぜか日経BP社のITproメールを読んでいる私。
で、昨日の記事を読んで、うーんと唸ってしまったので、ちょっと引用。
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◆「3割が“心の病”、5割が予備軍」――の衝撃
先日、メンタルヘルス関連サービスを手がけるアドバンテッジ リスク マネジメントが「IT・通信業界の従業員のストレスレベルが他の業界に比べて高い」という調査結果を発表した。この結果を見て、3カ月前に受けた“衝撃”を思い出した。それは、日経コンピュータがITproと共同で実施した「心の病に関する調査」の結果を集計したときに受けたもの。回答者1421人のうち3割が「心の病と診断されたことがある」、5割弱が「診断されたことはないが、不安を感じたことがある」と答えたのだ。
(中略)
もちろん、Webで不特定多数に向けて実施した調査なので、このテーマに関心を持っていたり、身近に感じたりしている人が回答する。数字は実態よりも上ブレする可能性はある。それでも、3割、5割という数に「ここまで多いのか」と驚きを隠せなかった。さらに「勤務先で心の病にかかっている人はいますか」の問いに対しては68.9%が「いる」と答えた(総回答数は1375人)。残りがすべて「いない」ではない。20%以上が「わからない」と答えており、「いない」と明確に回答したのは7.1%にすぎなかった。 
(後略)  (小原 忍=日経コンピュータ)
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私が、うーん、と唸ったのは、結果にではなく、数字の使い方に。
かなり衝撃的な数字が並んでいるけれど、これを鵜呑みにするのは、「ちょっと待て!」という気がする。だって、記事でも一応、指摘しているように、この数字は回答者がかなり偏っている。

「Webで不特定多数に向けて実施した調査なので、このテーマに関心を持っていたり、身近に感じたりしている人が回答する。数字は実態よりも上ブレする可能性はある。」

回答者が1421人とか、1375人とか、結構多いので信頼できそうに感じるけれど、これが曲者。
実際、Webアンケートなんて、めんどくさい調査に協力しようとする人は、かなりテーマに関心を持っていると考えていいんじゃないかな。
まぁ、関心を持って回答した人が1000人を超えているところに、問題の深さを見ることはできるかもしれないけれど。

学生時代、吐きそうな思いで数式と格闘し、惨敗し、論文でなんとか救ってもらった統計学の時間に、くどいほど言われたのが、サンプルの偏りをなくすことと、質問の誘導をさけること。逆に言うと、サンプルを偏らせ、誘導質問をすれば、欲しい調査結果は得られますよ、ということだ。

最後に、かなり前に出版された本ですが、ご紹介。
「統計でウソをつく方法 数式を使わない統計学入門」ダレル・ハフ著
統計学の本ですが、難しくなく、ふふっと笑えます。

★心理学のカテゴリーに分類しました。アンケート調査や、統計数値の分析は、ホントは社会心理学的知識が必要なので。とくにアンケートの質問項目の設計は、ホントに偏りをなくして真剣にやろうと思ったら、かなりちゃんとした知識と細心の注意が必要です。正直、世の中にあふれるアンケート調査結果の多くは、あんまり信頼できません。ま、分析じゃなくて広告手法として使うだけなら、それでもいいのかな、という気もしますけどね。
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